100枚ドローイングへの道のり 4: Q世代〜U世代

世代を経ての変化

100枚ドローイングも後半戦に入り、Q世代〜U世代では方法論とパターンが概ね出尽くし始める。なのでこの辺りの世代では画材とテーマの変化で緩急を付けるようなドローイングが増えていった。相変わらず迷っている時間はないが、後半に入っているので心理的には多少気が楽になった。それでは早速、前回と同様にQ世代〜U世代のドローイングを紹介していこうと思う。

100枚ドローイング (Q世代〜U世代)

Q世代

テーマ: 背景

評価基準: テーマの解釈

遺伝: Q′

解説: Q世代はこれまでテーマにしてこなかった背景をテーマに3種類のドローイングを描いた。Qは背景でありながら、前景でもあるようなドローイング。Q′はフレームやレイヤーを想起させるドローイング。そしてQ″は背景的なキャラとその前の物との関係性で背景を表現したドローイングになる。結果的にはQ′を選択した。

Q

Q′

Q″

R世代

テーマ: レイヤー

評価基準: レイヤーの数

遺伝: R⁗

解説: R世代は自分の中でも大きなテーマであるレイヤーをテーマに設定した。これはQ′が遺伝しているということを意識したテーマでもある。Rは海の幾つかの写真を加工してレイヤー構造を見せた。R′はブラウザのタブとウィンドウを多数開いて重ねたスクリーンショットを撮影し、レイヤーを表現。R″はRとR′の要素を取り入れつつ、ボールペンのドローイングをレイヤーとして足した。R‴はこれらの写真や動画を撮影しに行った時に拾ってきた植物の断片と、その写真を加工して生成されたイメージを貼り付けた。R⁗はR〜R‴までの全てのレイヤーを重ねて統合することで表現した。評価基準がレイヤーの数なので、R⁗を選択。

R

R′

R″

R‴

R⁗

S世代

テーマ: レイヤー

評価基準: 洗練

遺伝: S⁗

解説: S世代もテーマは引き続きレイヤー。しかしこの世代ではどちらかと言えば絵画的な要素でレイヤーを表現した。最終的にはS′とS⁗で迷ったが、よりキャラ的な要素があり、洗練されていると判断してS⁗を選択。

S

S′

S″

S‴

S⁗

T世代

テーマ: キャラ

評価基準: キャラ立ち

遺伝: T″

解説: T世代はこれまでのドローイングでも度々顔を出していたキャラ的な要素を追求するため、テーマをキャラに設定。評価基準に沿って一番キャラ立ちをしていたT″を選択した。

T

T′

T″

U世代

テーマ: 落書き

評価基準: パターンの数

遺伝: U′

解説: U世代のテーマは落書き。自分のドローイングには落書き的な要素があるのは確かで、そこをさらに際立たせてみたかった。Surrealism、Hans Bellmer、漫画、ゲームなどの要素が散らばっているが、最終的にU′を選択した。落書きという意味ではUでも良かったかもしれない。

U

U′

U″

U‴

U⁗

Q世代〜U世代総括

Q世代〜U世代では自分が今まで避けてきたような表現と向き合うことになった。そこでは自然と自分が過去に影響を受けてきたような要素の片鱗も出現している。絵画的な表現よりは立体的、音楽的、映像的、デジタル的、文章的な表現の方が得意なので、絵画的な表現を自分から進んでやることはほとんどない。これを自分なりに分析すると空間的、時間的な広がりがある表現に向いているということだろう。ただしドローイングは思考の断片が埋め込まれるし、視覚言語として思考形態の一種でもあるので、描いているちに様々なアイディアが湧き出てくることもあるし、新しい発見もある。そういう意味ではドローイングで絵画的な表現を通して考えるというのは案外ありなのではないかと思った。

100枚ドローイングへの道のり: 連載記事リンク

100枚ドローイングへの道のり 1: A世代〜G世代

100枚ドローイングへの道のり 2: H世代〜K世代

100枚ドローイングへの道のり 3: L世代〜P世代

100枚ドローイングへの道のり 4: Q世代〜U世代

100枚ドローイングへの道のり 5: V世代〜Z世代

100枚ドローイングへの道のり 6: 「突然変異とトゥルーエンド」 (ステイトメント)