100枚ドローイングへの道のり 1: A世代〜G世代

100枚ドローイングとは?

100枚ドローイングとはその名の通り、100枚ドローイングを描く修行のことである。短期間に100枚という量の負荷を脳と身体にかけることで、アーティストとしての基礎体力を養成し、量質転化の法則のように量が質に転化する効果を狙うというもの。これは新芸術校の課題として出題されたのだが、ドローイングの定義も緩く、単に絵画的なスケッチやデッサンなどに限らず、どんな方法を使用しても良いとされていた。簡単に言えば制作における思考の原点を素早く掴み取るためのトレーニングとして出された課題と言える。個人的には淘汰のドローイングに、世代ごとにメディア変換をするという条件を加えて100枚ドローイングに挑んだ。淘汰のドローイングとは世代ごとにテーマと評価基準を言語化して設定し、その評価基準で最も良いドローイング以外を淘汰し、その選択したドローイングの特徴や要素を後の世代で引き継いで強化していくドローイングの手法のこと。またここで言うメディア変換とは絵画、写真、音、映像、コラージュなどに限らず、鉛筆、色鉛筆、木炭、墨、絵の具などの画材の変化や、メディアの増減も含む緩い定義になっている。今回の記事ではA世代〜G世代のドローイングをテーマ、評価基準、遺伝、解説の各項目と実際の写真を加えて紹介していく。ちなみに遺伝の項目に書いてあるものが、次世代に遺伝するドローイングになる。

100枚ドローイング (A世代〜G世代)

A世代

テーマ: 設計

評価基準: 伝わり易さ

遺伝: A

解説: 最初なのでまずは100枚ドローイングのアイディア出しをした。Aはキーワードと絵、Bはキーワード、Cは絵を主体に表現し、結果としてAを遺伝対象として選んだ。

A

A′

A″

B世代

テーマ: 枠組みと逸脱

評価基準: シンプルさ

遺伝: B′

解説: 外出してテーマに沿った写真を撮影した。Bはゴミ箱という枠組みを象徴するものが、外に幾つも並んでいるという逸脱をしていたので撮影。B′は看板にグラフィティのようなものが描かれており、看板をキャンバス、枠組みとして逸脱を象徴しているようだったので撮影。B″は犬が枠組みから逸脱しようとしている瞬間なので撮影。結果としてシンプルなB′を選択。

B

B′

B″

C世代

テーマ: 逸脱と再構築

評価基準: エモさ

遺伝: C

解説: 遺伝したB′を素材として、それぞれ違う方法で加工してみた。CはFotor、C′はibisPaint Xというアプリ、C″はDeep DreamerというDeep Learningのソフトでそれぞれ加工した。エモさでCを選択したが、良く見ればC′の方がエモかったかもしれない。

C

C′

C″

D世代

テーマ: 不気味さ

評価基準: エモさ

遺伝: D″

解説: Cを土台に少しずつ別の加工をした写真に音を加えてみたいと思い、昔制作した音源と今回制作した音源をネットにアップした。それらのリンクをQRコードとして写真に埋め込んで完成。実際にQRコードを読み込んでアクセスすることも可能だが、QRコード系は掲載している写真からアクセスできるかどうかは分からない。これは音のエモさでD″を選択。

D

D′

D″

E世代

テーマ: 深遠/深淵

評価基準: 余韻

遺伝: E

解説: 音を埋め込んだので、今度は映像を埋め込みたいと思い、Final Cut Pro Xに遺伝元の写真素材を読み込んでそれぞれを映像として加工した。それぞれの映像はQRコードでリンクが埋め込んであり、音は全て同様だが、D世代より拡張してある。余韻という評価基準でEを選択した。

E

E′

E″

F世代

テーマ: 奇妙な深淵

評価基準: パターンのキャラ立ち

遺伝: F

解説: E世代までは一つの素材からどんどんメディアを加えて変換していく形だったが、F世代で大きく変更した。シャーペンを使ったドローイングとして抽象的に要素を受け継ぐ形に。パターンが色々はっきり出ていたFを選択。

F

F′

F″

G世代

テーマ: 重層性

評価基準: シンプルさ

遺伝: G′

解説: G世代ではボールペンの黒を使用したドローイングにした。重層性がありながら、シンプルに表現できているということでG′を選択。

G

G′

G″

A世代〜G世代総括

「淘汰のドローイングにメディア変換という条件を加えて100枚ドローイングをやる」というアイディアは最初上手くいくか分からなかったが、A世代〜G世代までやってようやくこれは何とかできそうだという感触を掴むことができた。ただしメディア変換のアイディア出しと手間が凄まじく、時間の制約上後半は画材の変更になっていくだろうなという予感はこの時既にあった。またE世代までの流れとそれ以降はかなり断絶があるように見え、そのメディア変換による抽象化は狙っていたものの、元来絵はほとんど描かずにデジタル、音、映像などが得意なだけに、E世代までの流れを延々と100枚やったらどうなったのかというのは別の分岐として検証したら面白かったかもしれないと思った。

100枚ドローイングへの道のり: 連載記事リンク

100枚ドローイングへの道のり 1: A世代〜G世代

100枚ドローイングへの道のり 2: H世代〜K世代

100枚ドローイングへの道のり 3: L世代〜P世代

100枚ドローイングへの道のり 4: Q世代〜U世代

100枚ドローイングへの道のり 5: V世代〜Z世代

100枚ドローイングへの道のり 6: 「突然変異とトゥルーエンド」 (ステイトメント)