健康的な夜行性生活

夜行性という病

夜行性は病である。動物には夜行性と昼行性の2種類あるとされるが、人間の場合の夜行性には昼夜逆転生活を送るダメ人間というレッテルが貼られがちである。実際夜行性であることによって概日リズムが崩壊し、精神に悪影響を被ることもある。また社会的な生活を営む上で昼行性であることは必須のスキルであり、その枠組みから外れることは自己管理がなっていないとして自己責任の対象になる。自分としても長年自分が夜行性であることに対する罪悪感とその実害に苦しんできた。夜行性であることにより食事回数、睡眠時間などの生活習慣、リズムが崩れ、その結果として日常生活に支障をきたし、昼行性のリズムに戻すためには莫大な時間を要する。しかし、たとえそのリズムに戻ったとしても、一瞬の気の緩み、もしくは自分ではコントロール不可能な外部的な要因、スケジュールによってすぐに夜行性に戻ってしまうことが繰り返される。この無間地獄のループから脱出し、別の世界線に移行するために過去に様々な試みをしてきた。その結果数ヶ月単位で短期的には成功することもあったが、年単位で長期的に見れば、結局何をやっても元の世界線に収束してしまう。しかし今回はその夜行性を昼行性に矯正するという概念自体を疑い、夜行性という病に対する認識を改め、その執着を手放してみようと思う。

健康的な夜行性生活

突然だが健康的な夜行性生活を送ることは可能だろうか?この言葉に違和感を覚えるのは、通常健康的な生活と夜行性の生活は対立するものと考えられているからだ。しかし実際には健康と夜行性の概念は必ずしも対立するとは限らず、そう考えてしまうのは先入観の影響が大きい。例えばアイマスクや耳栓というアイテムがあれば、昼間に就寝していても夜間と似たような睡眠環境を作ることは可能だ。また光照射療法などで使用される高照度照明器具を使用することでメラトニンの分泌を促し、自分なりの概日リズムを作ることも可能になる。その生活リズムの基盤の上で健康的な生活を送れるのだとしたら、健康と夜行性は必ずしも対立する要素ではないことになり、就寝時間と起床時間は自分の好きな時間に設定できることになる。問題は仕事だが、これに関しては日本にいながら海外の仕事をする、夜間の仕事をする、もしくはフリーランスや経営者など自分で自分の働く時間をコントロールできる仕事に就けば良い。むしろ良くないのは夜行性であることに対して罪悪感を抱き、無理にがんばって昼行性に矯正しようとし、それに失敗することで負のループに入ってしまうことだ。例えば双極性障害に関しては治療するよりも創作活動に役立てるための授かり物と認識し、活動することで良い波に乗ることに成功した。それと全く同じ視点で夜行性についても認識し、活動すること。外部にチューニングを合わせるのではなく、自分の中にあるコアにチューニングを合わせること。自分を生活すること。それが健康的な夜行性生活という一見矛盾に満ちた生活を成立させる鍵になる。

見過ごされてしまうもの

人間には遺伝的要因を含めて先天的に生まれ持った性質、資質があり、一方で環境的要因を含めて後天的に獲得した性質、資質がある。夜行性についてもその両面の観点から考えることは重要だと思うが、経験上変えられないことを無理に変えて他に合わせようとするより、むしろその性質、資質を自分なりに解釈し直し、その道を突っ走っていった方が上手くいきやすい。つまりこれは病を作っている原因は全て自分の認識にあり、その執着を手放すことで初めて次のステージに行けるということでもある。過去には早寝早起き、短眠の生活などに憧れていたこともあったが、そういった一見理想的で得に見える生活の中で見過ごされてしまうものもある。夜道の静寂、暗闇の背徳感、夜行性の創造性、夜と朝の境界線、人間以外の生態系。雑音や大きな音が苦手な自分としては、夜は最も集中力を注げる時間帯でもある。もちろんこのような考え方が今後変わっていく可能性も否定しないが、今はその可能性を追求してみようと思う。自分なりに生き延びるという継続以外に、必要なものなど何もない。