「VOX PLUS BE 3DVR ゴーグル」の使用感とYouTubeお薦めVR動画5選

VRによる身体性と臨場感の拡張

VRは身体性の拡張装置であると共に臨場感の拡張装置でもある。物理空間から情報空間に広がる空間を全て瞑想空間、つまり人間の認知空間の範囲内だとするならば、その空間において身体性と臨場感を拡張し、運動することは元来達人や一部の天才にしかできなかった。しかしコンピュータが発明され、iPhoneやiPadなどのデバイスが発明され、VRゴーグルやMRゴーグルなどが発達し、XR (Cross Reality) が当たり前になる世界でにおいては誰もがその瞑想空間をリアルに体験することができる。例えば瞑想の達人はその情報空間におけるイメージで火傷を負う、ショック死するほどの臨場感を生成することが可能だが、デバイスによる身体性と臨場感の拡張により今では一般人がそれに近いレベルの体験をすることが可能になった。また例えば閉鎖された空間は懲罰の象徴であったが、独房に閉じ込められたとしても、瞑想の達人であればハワイのビーチでのんびり日光浴をすることが可能であっただろう。しかし今では囚人にVRゴーグルを渡せばそれと同じような体験をすることが簡単に可能になる。他にも自分の経験で言えば過去に「VR ZONE Project i Can」で「脱出病棟Ω」というホラー系VRコンテンツを体験したのだが、敵に捕まって処刑されそうになったことで真面目に死にかけ、一緒にプレイしていた友人に必死に助けを求めた。ホラー系はそこまで苦手な方ではないのだが、その時の経験からホラー系VRにはかなりの苦手意識がある。しかし逆に考えてみればVRゴーグルは従来のホラー体験で満足できない人の満足度を満たす可能性があるとも言える。このようにVRによる身体性と臨場感の拡張は万人の瞑想空間における体験を豊かにする効果がある。

「VOX PLUS BE 3DVR ゴーグル」の使用感

それでは本題の「VOX PLUS BE 3DVR ゴーグル」の使用感について、以下に箇条書きでまとめてみる。

・瞳孔間距離と焦点距離を調整できるため、近視、遠視に対応している。実際に近視であってもコンタクトや眼鏡を装着することなく楽しめた。ちなみに眼鏡と乱視には対応していないので注意が必要。

・VRは音の有無によって没入感が大きく変わるので、ヘッドフォンは必須。これに関してはゴーグルとヘッドフォンが一体化していてコードレスな快適さがあり、スマホとの接続と装着の仕方も簡単だった。またゴーグルを装着した後に音量調節をすることも可能。

・スマホを充電しながら使用できるのは便利。

・慣れの問題もあるが、動画の内容と長さによっては「VR酔い」をする。ただしこれはVRゴーグル一般の特徴なので、特にこのVRゴーグルに問題があるわけではない。

・ゴーグルを装着しながら画面をタップする操作のみ可能だが、それ以外の操作ができない。なのでゴーグルの蓋を毎回開けて、スマホ操作をしなければならないのが不便。ただしこれは別売のリモコンがあれば解決する問題。

「VOX PLUS BE 3DVR ゴーグル」については上記のように概ね良い印象を持ったし、デメリットの部分は仕方ない部分か解決可能な部分である。なのでコストパフォーマンスも含め、総合的に見て相当お買い得のVRゴーグルであると感じた。「Google Cardboard」よりは良いものが欲しいが、「Oculus Go」などを手に入れる前にワンクッション欲しい人、もしくはVRゴーグル初心者に特にお勧めの商品になっている。

YouTubeお薦めVR動画5選

それではここからはYouTubeお薦めVR動画5選ということで、個人的に体験した中で特に良かったYouTubeのVR動画を5個紹介して終わりたい。

リラクゼーション系

最初に紹介するのはリラクゼーション系の動画である、「360 VR VIDEO」。これはGLASS CANVASのためのPVであり、360度VR動画になっているため毎回違った風景を楽しめる。また実写ではなくCGをフル活用したウォータースライダーになっており、海、森、空を含んだ自然や海外の風景を含んだ新感覚の体験ができる。リラクゼーション系では他にも実写のスキューバダイビング系やビーチ系がお薦めだが、今回は様々な要素が盛り込んであり、繰り返し体験しても飽きないこの動画を選択した。

スカイダイビング系

次に紹介するのはスカイダイビング系の動画である、「SkyDive in 360° Virtual Reality via GoPro」。スカイダイビングを体験したことのない人は沢山いるだろうし、体験するのは怖いがどんなものなのか知りたいという人も多いかと思う。この動画はそのようなスカイダイビング未経験の人に特にお薦めの動画で、スカイダイビングの一連の流れがリアルに体験できる。スカイダイビング系の動画は他にも幾つか見たが、クオリティの面でこれがベストだった。

ホラー系

次に紹介するのはホラー系の動画である、「【360度動画】ホラーな世界を疑似体験 「後ろの正面だあれ…?」夜の小学校に潜む影」。360度VR動画とホラーは異様に相性が良いが、その理由はタイミングの予測不可能性にある。360度VR動画では周囲を見渡すことが可能であり、それ故に通常の動画と違って気を抜いたタイミングで突然恐怖の対象を発見してしまうことがある。恐怖と驚きは似て非なる感情ではあるが、互いに影響を与え合う感情でもあり、驚きのタイミングが分からないことにより、恐怖感もまた増していく。これは通常のホラー系の映像にはない特徴だ。またお化け屋敷よりも怖いと感じる部分があり、それはお化け屋敷には前提として恐怖の対象が自分に危害を加えることはないし、最悪いつでも逃げられるという安心感があるが、VR動画では本当に自分を襲ってきているような没入感があり、また耳元で音が鳴り続けることによって恐怖が持続し、逃げられない錯覚に陥る。今回紹介した動画はホラーではお約束の物語、展開を描いているものになるが、視点を動かさなくても怖いし、視点を動かす度に見てはいけないものを発見してしまう。360度動画なので見返す度に新しい発見があるはずだが、二度と観たくない。

映画系

次に紹介するのは映画系の動画である、「360 Google Spotlight Stories: HELP」。5分以内に終わる動画だが、一応物語に起承転結はあり、コンパクトにまとまっている。映画とVRの相性についてはもっと色々体験しなければ分からないことが多いが、VRの台頭によって映画館は別の付加価値を生み出さなければこの先生き残っていけないのは確か。現在音楽におけるライブの価値はCDの価値と反比例して上がっているが、映画における上映の価値はDVDやBlu-rayの価値と比例して下がっていく。またYouTubeなどの動画プラットフォームではある程度短い動画が歓迎される傾向にあり、そうなると長編映画は今後ますます厳しくなっていくかもしれない。ただむしろ自主制作の短編実験映像作品などは手軽に作れ、手軽に見られる状況になるかもしれず、VRなどを利用した実験的な作品に関しては新しい回路が開ける可能性もある。この作品はハリウッド的起承転結を短時間でまとめた作りになっており、一見の価値はある。

アート系

最後に紹介するのはアート系の動画である、「Dreams of Dali: 360º Video」。本動画はサルバドール・ダリによる《Archeological Reminiscence of Millet’s Angelus》を題材に、VR動画としてその世界を探索する内容になっている。このような試みをするためにはその絵画世界における想像力を拡張し、補助線を引きつつ再現する能力が必要となるが、本動画は元の題材を殺すことなく見事に昇華した作品となっている。また近年の潮流で言えばバイオアートやVRアートによってシュルレアリスムの復権の兆候がある。そういう意味ではアーティストは大竹伸朗などの感性丸出しの感覚をむしろ拡張するのも一つの方向性としてあるのではないかと思い始めており、その観点からも興味深い。ちなみに途中で出てくるアルベルト・ジャコメッティ的な細い足長の象が歩く様子は、Gotyeの「Eyes Wide Open」の世界観も連想させた。

また本動画では従来の絵画作品に奥行きを与える作品となっているが、この方向性を徹底したとすれば森村泰昌のセルフ・ポートレートのように作品の登場人物に「なる」という方向を別の方向に拡張できそうな感じもする。ついでにこの方向性と最も相性の良さそうな、ズジスワフ・ベクシンスキーの絵画で同じような試みをしている「beksinski360」というVR動画を発見したので、そのリンクも張っておく。

いずれにせよ、本動画はアートに興味のある方は一見して損はしない動画になっている。

今回の記事のまとめ

今回の記事をまとめると、まずVRは身体性と臨場感の拡張をする技術であることをまとめた。次に「VOX PLUS BE 3DVR ゴーグル」は総合的に見て満足できる商品であり、VRゴーグル初心者にお薦めであることを紹介した。最後にYouTubeお薦めVR動画5選ではリラクゼーション系、スカイダイビング系、ホラー系、映画系、アート系の5系統に分けて動画を掲載したが、今回紹介した動画以外にも定番のジェットコースター系やサメ系など楽しめるコンテンツは数多くある。未だにVRゴーグルを試して数日しか経過していないので、この先掘り下げればまだまだ興味深いものが沢山見つかるだろう。またアーティストとしてはVRを利用したコンテンツ作りには以前から興味があったので、この機会を活かして簡単な作品を作ってみようかと思っている。

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